石鳥谷図書館さんの企画展示の中でもかなり歴史のある『実はすごい!石鳥谷の「匠」展』
毎回、石鳥谷地域で優れた技能を持った「匠」を取材し、関連図書と共にご紹介されています。
石鳥谷図書館さんのご協力により、コラボ企画が実現✨
石鳥谷の匠シリーズとして、石鳥谷地域情報発信サイト DO・RI・YAへ掲載させていただいております! ぜひお楽しみください。
今回は、好地在住の畠山 清子(素園(そえん))さんをご紹介します。
畠山さんは、全国的な公募展『日展(日本美術展覧会)』の書道部門(第5科 書)で何度も入賞されています。
花巻市内で日展に応募、唯一人入選を続けている畠山さんの書道にかける思いを中心にお話をうかがいました。
はじめに「書」とは何かに触れてみましょう。
「書」は言葉を素材とした視覚芸術です。三千年の古い歴史をもつ文字を素材とし、その造形・線質、伸びに心をくばり視覚化されたのが「書」です。文字本来の性格に、美が導入され、書き上げた線条の上に美が築かれてはじめて、「書」という芸術が成り立つのです。文字を「用」にのみ使えば実用の書、それに美が加わってはじめて「書」になるのです。
どんな芸術でも、作品には作者の心が現れます。特に書はその傾向が強く出ます。「書は心の画なり。言は心の声なり」と言われます。これは書いた人の心が画になって表れるという意味です。また、「文は人なり」ともいわれるように、書ほど人の人柄をよく表すものはありません。
書はあらゆる芸術の最後の姿を描き出すともいわれます。よい書が書けてはじめて一人前の芸術家といえるともいわれていました。書は全人間の表出であり、その人の生きざまの結晶ともいえます。
その人の生き方、求める美の相違によって、いろいろな書相となって表れてくるのです。
書道入門 良い手本を習う
城所湖舟・著 成美堂出版より引用
石鳥谷町好地に、父畠山尚已さん、母幸子さんの3人兄弟の長女(兄紀秀、弟知之)として誕生。
小学校2年生から中学校3年生まで、故谷村抱月先生が主宰する書道教室に兄弟3人で通い、続けていくうちに書くことがどんどん好きになっていきました。
社会人となり、仕事と並行して書道を続け、北日本書道学院に入門。初等科、中等科、師範科を修了。中等科のときに、生涯の師、奥瀬素玄(そげん)先生に出会いました。奥瀬先生の門下に入り、篤くご指導をいただきながら書道に没頭していきました。その後、奥瀬先生のご縁で京都日展特別会員である山本悠雲(ゆううん)先生に師事し、現在に至っています。
日展(日本美術展覧会) 会友
読売書法展 理事
岩手県書道協会審査会員
日本書芸院 一科審査会員
私が日展に応募するきっかけとなったのは、尊敬する奥瀬先生の勧めがあったからでした。
もちろん、師である奥瀬先生も毎年日展に出品し、挑戦していらっしゃいました。先生は『死ぬか生きるかの取り組み』『真剣勝負』とおっしゃっていたため、日展の締め切りが近くなると先生への連絡を控えたものでした。
昔から、日展は私にとって憧れであり、手の届かない展覧会でしたので、毎年、東京の上野美術館に鑑賞しに行くことを楽しみにしていました。それだけに、その展覧会に応募するように先生に言われた時は、信じられない気持ちと嬉しさでいっぱいでした。
出品するだけでもすごい!と思っておりましたが、ある上の先生に「誰が入選するかわからないのだから、畠山さんにも可能性はある。頑張って書きなさい!」という励ましの言葉をいただきました。
その後、初入選したときにいただいた多数の電報の中で、その励ましをいただいた先生からの電報には「お見事!」と記されており、それがかえって今でも心に残っています。
そうおっしゃる姿に、畠山さんにとって日展への出品がいかに大きな挑戦だったかがうかがえました。
日展に限らず、何事においても「結果は最後までわからない!」「何事もあきらめずに全力を尽くす!」の言葉を胸に抱きながら、「がんばれ!がんばれ!」と自分を励まし続けているそうです。
※こちらの記事は、石鳥谷図書館にて2024年8月2日(金)~10月31日(木)に展示されたものを、許可を得て転載しています。